このエピソードのあらすじ
初めて北海道を訪れる人の多くは、観光や雪景色、温泉、海鮮が目的です。あるいは、羊蹄山をひと目見てみたいだけかもしれません。ところが、ひとつ面白い現象があります。旅を終えて戻ったあと、多くの人が深夜になると、その土地の風土や暮らしを調べ始めるのです。
以前、台湾のある経営者の方と知り合いました。彼が初めてニセコを訪れたときの滞在は4日間。帰る頃には何も買っていませんでしたが、それからずっと北海道の地図ばかり見ていたそうです。後になって彼は、ここが特別に賑やかだからではないと言いました。むしろその逆で、夜8時を過ぎると、並ぶ人もほとんどいません。ある朝、道路に車はほとんどなく、彼はスーパーへ買い物に行きました。そしてコンビニの前でコーヒーを飲みながら座っていると、ふと気づいたそうです——こんなふうに何もせず、ぼんやり座る時間が、自分にはずっとなかったことに。
その後、多くの人が同じような経験をしていることに気づきました。最初は景色を見ていますが、そのうちスーパーや病院、学校、地域を見るようになります。見るものはどんどん日常的になっていきます。それでも、住んでみたいという気持ちは、むしろ強くなっていくのです。人を惹きつけているのは、雪景色ではないのかもしれません。それは、ごく当たり前に見える日々なのです。
見どころ
- 観光で訪れたはずの土地が、帰ったあとの深夜に「調べる対象」へ変わっていく瞬間
- ニセコに4日間滞在し、何も買わずに帰った台湾の経営者が持ち帰ったもの
- 夜8時に誰も並んでいないレジ、車の通らない朝の道——賑わいの逆にある魅力
- 見るものが景色から病院や学校へ移っても、住みたい気持ちがむしろ強くなる理由